編集長ごあいさつ

編集長ごあいさつ

「agri.TOKYO(アグリドットトーキョー)」は、東京の都市農業をテーマにしたWebメディアです。

東京で農業と言うと驚かれる方もいらっしゃるかもしれませんが、東京都の西部にあたる多摩地域や、世田谷区・練馬区・江戸川区といった23区の一部地域では、江戸時代の新田開発以来、その土地に根付いた農業が行われてきました。高度経済成長やその後の都市化・宅地化の進展により、東京の農地の多くは姿を消しましたが、21世紀に入った現在でも、5000軒を超える農家でその営みが脈々と続けられています。

この地の農業の大きな特徴のひとつが、住宅の合間にぽつぽつと畑や田んぼが残り、そこで商業生産が行われているということです。「agri.TOKYO」では、このような、宅地化が進められてきた地域(都市計画法にいう市街化区域)で行われている「都市農業」に焦点を当てて、その営みや生産者の想い、将来の展望などをお伝えしてまいります。

都市に生きる私たちにとって、野菜や米などの農産物を食べることは至って当然のことですが、その生産現場について知っているという方はどれほどいらっしゃるでしょうか。ましてや、東京都心からわずか十数分の場所に畑や田んぼがあり、そこで農業が行われているということをどれほどの方がご存知でしょうか。

2020年に東京オリンピックを控える中で、多種多様で新鮮な野菜を迅速に供給できる東京の都市農業に注目が集まり始めています。しかし、都市農業の価値はそれだけではありません。いま日本では人口減少社会を迎え、社会のあり方が抜本的に変容しつつあります。このようなときこそ、これまで当然とされてきたものに再度目を向け、その本来の姿を捉え直す必要があります。とりわけ、本来最も身近であるはずの食べ物や食料生産に目を向け、その世界の価値観や生き様についてリアリティをもって知ることは、都市に生きる私たちにとって欠かしてはならない貴重な体験になるはずです。その意味で、東京の都市農業は、世界に名だたる大都市TOKYOに最も近い生産現場として、これまで以上に重要な価値を有するに違いありません。

農業から「生き方」を考える。これまで見たことのない、リアルで奥深い東京農業の世界に皆様をご案内いたします。

平成31年3月20日
アグリドットトーキョー 編集長
吉野 飛鳥