DeST2018取材レポート④ 地域×デザイン!(江藤梢さん)・生ゴミを活用したコミュニティー農園(佐藤美千代さん)

DeST2018取材レポート④ 地域×デザイン!(江藤梢さん)・生ゴミを活用したコミュニティー農園(佐藤美千代さん)

2018年12月8日、明星大学デザインセッション多摩(DeST)2018が開催されました。ぽてともっとのメンバーがセッションに参加しながら、その様子やお話の内容をレポートします。①~③の記事は、以下からご覧ください。

① 農×政治!?~時代の変化に対応するのではなく、変化を作り出せ!~(高橋金一さん)
② 農の力で多摩は世界一住みたい都市になる!(小野淳さん)
③ 新規就農のススメ!(舩木翔平さん)・暮らしと農の近い町国分寺(南部良太さん)
④ 地域×デザイン!(江藤梢さん)・生ゴミを活用したコミュニティー農園(佐藤美千代さん)

江藤さんからは地域のなかで作りあげるデザインの取組みについて、佐藤さんからは日野市内のコミュニティー農園「せせらぎ農園」の取り組みについて、それぞれお話をいただきました。

地域×デザイン!(江藤梢さん)

江藤梢さん

江藤梢さんプロフィール

株式会社コトリコ代表取締役。「地域×デザイン!」を掲げ、主に第一次産業・職人仕事・福祉の分野でブランディング・グラフィックデザイン・ワークショップの3事業を展開しています。

コトリコの3事業―お客様を虜にするデザインを

(1) ブランディング

「ブランドづくり」をサポートします。現場でインタビューやディスカッションを行って企画した内容を、100種類から選んだコトリコ独自のブランドシートに落とし込みブランドマニュアルブックとしてまとめます。これを元に実行・検証し、改善を繰り返していきます。

(2) グラフィックデザイン

デザインは制作する前が一番大切です。独自のデザインアンケートに沿ってインタビューを行なったのち、目的に合ったデザインを提案・制作します。

(3) ワークショップ

行政はじめ企業・事業者などに向け、デザインやブランディングの実践型ワークショップ形式を中心としたセミナーをこれまで年間10回ほど担当しています。

このように、価値創造のためのルールをクライアントと共にデザインし、クリエイティブに拡散しています。江藤さんが目指すのは、消費者がひと目で虜になってしまうデザインです。つまり、商品の分かりやすさ、満足感が含意されているため、結果として売上げにつながるデザインです。

地域×デザインの可能性

地域×デザインの可能性を広げたいのなら、農家とデザイナーと消費地との距離が近くないと難しいそうです。これら3者の距離が近ければ、農家の強みやその土地にどう根付いてきたかをより伝えやすくなります。農家のことを知ることで、デザインに奥行きが生まれます。江藤さんは「農家のデザインが安っぽくていいはずがない」というポリシーを掲げています。

ブランディング=畑仕事?

江藤さんはブランディングが農家さんの畑仕事に似ていると考えています。インタビューなどの情報収集や分析は「土壌調査」、経営戦略やブランド作りのプランニングは「土作り」、商品や事業の開発は「品種の選定と植え付け」。販促計画の進行管理は「栽培管理」、事業や商品・販促品の完成は「収穫」、商品やサービスの公開は「出荷」といった感じだそうです。だからこそ、江藤さんはクライアントと一定期間じっくり向き合って丁寧に取材することを大前提としています。クライアントと真摯に向き合うことで、農園や商品の魅力をじっくり引き出しながら消費者を虜にするデザインを創造していきます。

生ゴミを活用したコミュニティ農園(佐藤美千代さん)

佐藤美千代さん

佐藤美千代さんプロフィール

せせらぎ農園(日野市)主宰。2004年、地域住民による「まちの生ごみ活かし隊」の活動をはじめました。2008年、コミュニティガーデン「せせらぎ農園」を開設しました。2009年、「市民による都市農業研究会」を設立。2018年、日野市まちづくり条例に基づく「農のある暮らしづくり協議会」を立ち上げ、都市計画の視点で農地保全を検討中です。

「食」も「ゴミ」も地産地消?

「食」と「ゴミ」を地域で循環させることで、人も地球も健康になります。多摩地域のゴミ処分問題の課題は山積みです。例えば、日の出町の漏水問題、二ツ塚廃棄物広域処分場問題などが挙げられます。多摩地域ではこれらの問題の打開策として、エコセメント(ゴミを高温度で灰にして、さらにセメント化して売る)方式を実施しました。そのおかげで、多摩地域はゴミの減量・資源化をトップレベルにしました。しかし、佐藤さんはそもそも生ゴミの焼却自体が無駄だと考えています。生ゴミをリサイクルすれば、CO2、ダイオキシン、エコセメント費用の削減が見込めるのです。生ゴミの処分は市民一人一人で解決でき、地域に還元できるのではないかと佐藤さんは考えているそうです。

生ゴミを活用したコミュニティー農園「せせらぎ農園」

せせらぎ農園

そこで、佐藤さんは2006年に「まちの生ごみ活かし隊」を発足し、2008年には「せせらぎ農園」を開設しました。日野市ごみゼロ推進課と協働で、約200世帯の生ごみを火曜と木曜に分けて週1回ダンプカーで回収し、畑に直接投入して土ごと発酵、無農薬・無肥料で野菜や花を育てています。生ゴミ堆肥は牛糞にも匹敵するくらいの効果があるそうです。そこで採れた野菜は畑仕事を手伝ってくれた人に分けたり、イベントでふるまうそうです。会費も会則も当番もありません。火曜と木曜の定例作業には、自主性と自己責任のもと、誰でも好きな時間に参加できます。性別も世代も越えて多彩な人々が集って、交流を深めています。

ソーシャルインクルージョンとしてのコミュニティー農園

ソーシャルインクルージョンの場所の1つとして農園が存在しています。世間でいうガーデンには庭だけでなく、農も含まれます。コミュニティーはただ作るだけではなく、それを誘発する空間の作り方と運営が重要です。コミュニティー農園を持続可能にするためには、市民がともに汗をかき、様々な立場の人々との連携が必要だと言います。そのためにはコミュニティーの見える化をしていく必要があるそうです。